日経 BP の時流超流に "突然の「携帯官製不況」" というアーティクルが掲載されている。根幹は先日の各キャリアに対する総務省のフィルタリングの強制に端を発している。
「災害時は携帯からのアクセスが中心になるはず。早急にアクセスできるようお願いしている」(埼玉県庁)。埼玉県が2007年11月に開設したサイト「埼玉県危機管理・災害情報」が思わぬ“災害”に遭遇し、対応に苦慮している。
どういうことか? このアーティクルの続きを見れば判るがフィルタリングがこの情報を遮断してしまったためである。というのも、このサービスは楽天の Web log サービスを使って構築しているためである。現在の各キャリアのフィルタリングは Web log をコミュニケーションサービスとみなして遮断する。Web サーバ単位のコンフィグレーションしかないのでこのサービスは許可するということは恐らくできないのだろう。さらに、ひどい話もある。
勝手サイトの閲覧が可能なアクセス制限サービスのメニューも別途用意しているが、こちらも危険思想に触れる可能性があるという判断から、政党や宗教などのサイトが一律でアクセス禁止。現段階では、政権与党である自民党のサイトさえ閲覧できない。
ここまで硬直的だと清々しい。なぜ、こんなことが起こったか。恐らくは単純だろう、今までフィルタリングサービスは活用されていたとは言い難い。それゆえ、フィルタリングの精度が問題になることはなかった。しかし、総務省の方針で状況は変わった。フィルタリングサービスの精度を議論することもなく一括で動かした結果、このような惨憺たる自体は生起した。そして、このことはさらに続く問題を呼び起こす。言うまでもなく、モバイル事業からお金が逃げ出すわけである。
総務省の性急とも言える決定の代償は、あまりにも大きい。まず、携帯コンテンツ向けの広告市場が冷える。携帯の広告市場は年間五百数十億円で、これから大きく成長すると見られている市場。やっと大手広告主が興味を持ち始めたところに、フィルタリング問題が冷や水を浴びせた格好だ。
今回の問題は建築基準をいじったことで生じた住宅建設の停滞に類似している。この問題は住友不動産販売のデータが参考になる。改正建築基準法は所謂、耐震偽装の問題から出てきた内容である。この辺の事情は日経BP "【建基法不況の現実】(1)このままでは2~3カ月で会社はつぶれる" が詳しい。両者に共通することは問題の解決として選択した手法のサイドエフェクトの評価が甘かったことである。これは、無能の謗りを免れない。
今回の携帯官製不況に関しては明らかにフィルタリングの精度の評価が甘い。Web log という扱いやすい CMS を使ってサイトを構築するのは恐らく、一時的な現象ではない。それを考えれば Web log 以外が Web log の CMS で構築され得ることは想定してしかるべきだ。コメントが書けるか否かも設定次第であり、いつでも変わり得る。このような動的なシステムに対して、静的な評価が成り立つと仮定したところに本質的に問題がある。

