まさに、「持たざる者は持てる者を妬み、持てる者に持たざる者の気持ちは判らない」ですね。私が最初に聞いたのは機動戦士ガンダム SEED のクルーゼの台詞ですが。一つの現実ではあろうと思います。
この話の憎悪はなにか? ヘルマンのジョセフへの憎悪、マレクの世界への憎悪。ヘルマンの憎悪は状況全てが見えないことに起因する一種の誤解が生んだものですが、マレクの憎悪は根深いです。名前などから察するに舞台となっているのはドイツ周辺部と推測しますが。欧州も移民の流入などでいろいろきな臭くなってきていますから。実際、移民の排斥を唱える右翼政党が支持を伸ばしたりしていますから。今を写しているように思います。
そして、マレクの世界への絶望と憎悪は、親友であったヨハンの横死で決定的なものとなります。マレクの苛めに加担したヨハン、しかしそれもヨハンが苛められていたためであり。苛めに加担したことはヨハンに幸せを齎さず、マレクの反応はヨハンに深い嘆きと絶望を齎した。結局、ヨハンは死というところに逃避する以外なくなってしまった。
絶望するマレクに接触してきたのはやはりベアトリスですか。ゲルトを融合体へと変えた、あの薬を持って。今度はマレクが絶望のさらに底を覗く番ですか。絶望が激しいだけに、暴走するんでしょうね。そして、暴走した融合体に待ち受けるのは、死ですらなく滅であることを知る由もなくといったところですか。まあ、ジョセフに狩られるか、XAT に狩られるかの二者択一。どちらも破滅でしかないというのに。
マレクのたどった道程はストレイトジャケットのファネット・ダウランドの道程と軌を一にします。ファネット・ダウランドも苛めに耐えかねて、一発逆転を言わばとっかかりにしてモールドなしの魔法詠唱、すなわち魔族化の道を辿ります。魔族化の道は全ての人権を剥奪されて極地災害として狩られるだけ。ストレイトジャケットの言い回しを借りれば、生きることにも死ぬことにもしくじった、哀れな末路です。
マレクが辿るは恐らく、道化としての哀れな末路でしょう。そして、間違いなくそれがもたらすのはアマンダへのさらなる苦しみ。そして、マレクの思いとは裏腹に移民がさらに苛烈な迫害を受けることです。どうも、この世界は破滅へ向けて疾走しているようにしか見えないですね。Blaßreiter の意味は青白い乗り手ですから、どうにも黙示録の青ざめた馬を連想しますね。
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