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RD 潜脳調査室 #12: 光のない朝

生まれつき、目の見えない少女とミナモの交流を通して描く第12話。義体化で眼は見るようになったがという形で逆説的に進めるのはなかなか面白い。生まれつき、不自由なところがあるとそれ以外のところが発達するというのはよく見受けられる言説であるが、少し調べたがその辺の妥当性に関してはこれはという文献はすぐにはみつからなそうだ。

従って、それ以外の方向性から少し考えてみようと思う。言うまでもなく、視覚が不自由だというのは不利な側面がある。ただ、この辺の有利・不利というのは両面がある場合もある。よく引用されるのは鎌形赤血球である。鎌形赤血球貧血(sickle cell anemia)は、主として西アフリカの原住民に認められるものだが貧血という不利な性質がある一方でマラリアに関して有利な側面ももつ。

彼女の場合、目が見えないというものが豊かな光を彼女にもたらした。しかし、現実に義体化によって視覚が与えられたことで彼女は光を失ったのではないかという苦痛にもがくこととなった。もちろん、現状の技術ないしは予見できる近未来の技術では先天的な全盲者に対して視力をもたらすというのは難しいであろうから、想像するよりほかにないが、テーマとして興味深く見させてもらった。

今回の話では、問題が完全にけりがついたとは言えないが。少なくとも、彼女は前進しようという意思を示した。少なくとも、それが見えたことで事件としては一件落着かなと思う。これ以上、下手に伸ばせば話を濁すことになってしまうかなと思う。このシリーズの話の根幹である、地球律にも少し触れることができたように思うし。一話の話としても非常に満足のいくエピソードであったかと思っている。

実際、人生塞翁が馬と言ったところで形質というものは有利不利が短兵急に判断できないものが多い。視覚障害については不利な面の方が多いとは思うが。先の鎌状赤血球のように有利な側面をもたらすものもある。銀河英雄伝説で出てきた劣悪遺伝子排除法のように恣意的に形質の選別を行えばむしろロクな結果にならない気がする。無論、かの法律はそれ以前の理由で考慮にすら値しない悪法であるわけだが。

しかし、『複製されるヒト』で描かれたジーン・リッチのように短期的視点で形質の判断を行うと、それこそ光のない朝に繋がる気がする。遺伝子というものはそれほど単純でないように思うのだ。

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2008年06月26日 00:06に投稿されたエントリーのページです。

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