楽天が行動ターゲッティング広告を始めたことが大きな反響を呼んでいる。行動ターゲッティング広告とは何か? 従来のWeb 上の広告では自分のサイト内でのユーザの行動を広告に活用することができたしかし、楽天のそれが新しいのはよそのサイトでの閲覧行動まで追跡してしまう。
IT-PLUSの記事"行動ターゲティング広告はどこまで許されるのか"によれば、楽天の「楽天ad4U」は「ユーザのブラウザ側で保有している履歴情報を元にユーザの嗜好を解析して、広告を配信する仕組み」だとされる。基本的には2002年頃、確認されたCSSやDOMなどのセキュリティ上のデザインエラーを突いて閲覧履歴を取得している。Firefoxでは2002/05にバグ番号:147777として報告されているが、CSSやDOMの仕様上の欠陥であり、変更した場合の影響範囲が大きすぎるため今に至るも改善が見られない。同記事によるとFlashなどのJavaScript機能を持つプラグインにも同様の欠陥があるとされる。問題のセキュリティホールに関する文献は当該記事の著者である高木浩光氏のWeblogのアーティクルにリンクがある。
楽天の行動の問題があるのは、まずセキュリティ上のデザインエラーをサービスに利用することの倫理的な問題である。人がブラウザーを使用する際に暗黙に期待する動作と異なる動作をさせるため、継続審議の刑法改正案の成り行きによっては明白な違法行為となる可能性もある。これは、先日来巷間を騒がせているGoogleのStreet Viewと似たような問題を含んでいる。つまり、現時点で明示的に法が禁止していなければ何をやってもいいという鈍感さだ。
現実的に言えば楽天の行為はきわめて詐欺的である。ブルートフォース的に統計処理をクライアント側で行うため間違いなくユーザの処理を重くする。そして言うまでもなく、その処理はブラウジングとは何の関係もない。これは、ユーザのコンピュータ資源を勝手に奪う行為であり詐欺的といわなければならない。
我々は技術の夢を見る、技術でできることはたくさんある。しかし、それとやっていいことはイコールではない。技術的には可能でも、やってはいけないことはたくさんある。たとえ法が明示的に禁止していなくても、倫理的に許されないことはある。それを意識しなければノーベルだ。ここでいう、ノーベルとはノーベルプライズに代表される名誉ではない。起きうることを洞察せず、突き進んだ結果の後悔のことだ。

