技術開発等でよく用いられる言葉にコンコルド錯誤がある。実際、超音速旅客機コンコルドの失敗に由来するとされる。Wikipediaによれば代表的な文献には以下のものがある。
日本語で読める文献だと長谷川真理子の著書”科学の目 科学のこころ”のp13-17に進化的な議論が書かれている。基本的には、埋没費用サンクコストの評価に起因する。すなわち、事業の縮小・撤退を行っても回収できない埋没費用が大きければ縮小や撤退の決断は困難になる。そして、決断を先送りし埋没費用がどんどん拡大する。
さて、本題、先日の仕分け会議で所謂、京速計算機の予算削減が議論された。これをめぐってかなりの反応があったがその中に、コンピュータ開発の予算を削減するとは何事かという批判がかなりあった。実際、菅副総理が復活に前向きという話を聞いている。
これは、京速計算機を巡る論点でも書かれているが脊髄反射的な議論では結論を誤ると思う。元々は京速計算機はベクトル型とスカラ型のハイブリッド構成で10PFLOPSを目指すというのが根底にあった。しかし、現実的にはIBMが2012年には20PFLOPSの計算機Sequoiaの運用を開始するという既報の通り1100億で10PFLOPSの計算機を作るというプロジェクトは今の数字としてはかなりおかしい。
もともとこの問題というのは、NIKKEI BP ”スパコン国家プロジェクト NEC脱落の真相”やおごちゃんの雑文 京速計算機の批判の続きあたりから尾を引いている。結局、演算装置を作ってからスパコンの建造にかかるという愚を犯しているのでスパコンが完成するころには世代遅れの演算装置になっている始末である。
既報によっれば富士通のSPARC系のチップをCPUに使うとされているが、確かにSPARCは大規模な計算機系、特にデータベースでは実績があるが、現実的にはこの手の大規模な並列計算機では近年はx86系を多数使った構成がかなりを占めているように見受けられる。実際、Beowolfの発表以来文献でもかなりの数がLinuxとx86の組み合わせであるように思う。データベースを安全に動かすのととにかく計算を回すのとでは要件がかなり違いますし。
そういう意味では、ベクトル系に相当つぎ込んだはずで、しかも迷走しているのに埋没費用に目を奪われて判断に詰まっているというところではコンコルド錯誤の良い見本になっているように思います。


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